第三章真田睦月巡査 真相への入り口編

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「真田!!堂場刑事部長は腹を刺されて、病院へ搬送された。二時間ほど前に榊署長が堂場刑事部長の執務室を訪れて来たが、突然「お前が真犯人か!!」という堂場刑事部長の叫び声が聞こえて、近くに居た捜査員が部屋に飛び込むと腹部を刺された堂場刑事部長と血まみれの榊署長が床に倒れていたとの事だ」 「なんで、わざわざ堂場刑事部長の前で自殺する必要があるのですか?」  真田は泣きそうになりながら問う。 「そんな事解からん! 第一堂場刑事部長と榊署長が知り合いだなんて始めて聞いた。榊署長の胸ポケットからメモが見つかった。やっぱり、木村正一は取り調べても無駄だったな」 「実は午前中柳井さんから電話が来て、偶然十九日に壮志君の小学校で交通安全教室が開かれて榊さんが署長として挨拶したらしいのですが、その夜河川敷の宝箱のおじさんだったと壮志君が言い出したみたいで……」 「何? それで、午前中泣き出していきなり飛び出していったのか?」 「はい、榊さんに直接その事で聞きたくて……すいません」 「危なかったな。もし話してたらお前が刺されてたかも……いや、すまん。俺も榊署長がこんな事するとは信じられん。真田!!一旦落ち着いて、見つかったメモをまず調べてみよう」 「はい、すいません。もう大丈夫です」  二人は現場となった堂場の執務室に入る。    そこには、息絶えた榊の死体と手元に血塗られた包丁が落ちている。  榊の口からは血が流れ、その近くに紅鮮色の肉片の様な物……つまり噛み切った舌。が落ちている。  すでに、榊の死体は現場で隈なく調べられ、スーツの胸ポケットからメモが二枚みつかっていた。  一枚目には、tongue①misconception⑤⑫(フォントはYuanti se)と印刷されていた。 「舌と誤認という意味ですね。木村さんが誤認逮捕であるということですかね?」  真田がつぶやく。
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