第三章真田睦月巡査 真相への入り口編

11/14
前へ
/196ページ
次へ
「だろうな。俺や谷さんは木村を取調べしていて、こいつは本当に何も知らないんじゃないかと薄々感じてた。ただ、堂場刑事部長が強引に状況証拠だけで自白に持って行く方針だったので従うしかなかったがな」 「でも、あれだけ状況が揃っていたら、木村さんが重要参考人になるのは妥当な判断だと思います……そして榊さんは、木村さんが第一現場で釣りを良くしている事は知っていますし、木村さんに第二現場の病院を紹介したのは榊さんです。木村さんが勤めている道路整備の会社も榊さんの紹介で就職しています。そうなると、榊さんなら木村さんを犯人に仕立て上げるのは容易い事です。  だけど、仲の良かった私の父を射殺した金山正道を恨んで仇討ちしたのだとしても、榊さんがなぜ木村さんを一度犯人として仕立てておいて、なぜ最後に木村さんを誤認逮捕であると示し自殺したのかがわかりません」 「確かに不可解な行動だよな。まあ、とにかく今はここをしっかり調べて、後でしっかりと動機や裏付けを固めていこう」 「はい」 「真田、メモのアルファベットを①と⑤と⑫で当てはめると、tとoとoだな。tooだ」水澤がつぶやく 「フォントが昨日の木村自宅物置で見つかったメモとは違いますね。しかし、tooだと今までのメモと繋げるとhim a punishment tooで文章になりません」 「真田、もう一枚のメモはこれなんだが、今までの遺棄部位と、この後ろの文は良くわからんが何だかか判るか?」    1 hand①“arial black”    2 arm③“impact”    3 lip③“georgia bold”  4 nose①“lucida grande”    5 shoulder①“optima”  6 arm③“big caslon”  7 tongue①“yuanti se” 「水澤さん!!これフォント名ですよ。ずっと第一現場から部位を表す単語だけフォントが違うのは気になっていましたが、フォントを特定するのは難しいのでずっと私も解からずじまいでしたが、これで解かりました」 「なるほど、数字が示す所のアルファベットか!!」 「hand①arialの一文字目……aか。arm③impactの三文字目……pだな」 「繋げると、apologyか」 「意味は謝罪ですね……」 「謝罪? 金山殺害を謝罪したいと言う事か?」
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加