一章 天国へようこそ

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振り返った死神の顔が歪む。 「……!? お前……! お前、何持ってんだよ!何持ってんだよ!? それ、まさか、まさか俺の……!」 ハルの手に握られていたのは頭蓋骨だった。 「俺の能力は特殊らしくてな。次の人生では頭蓋骨を大切にすることだな。」 ハルは死神の足元に頭蓋骨を投げてやった。 死神がの頭蓋骨を拾おうとした時、足元から光が立ち上り、もがきながら消えていった。 同時に頭蓋骨も消えた。 断末魔は聞こえなかったが、顛末は死者にも伝わったらしい。 「やめてくれ! 殺さないで! しっ、死神は、"見えない"奴は殺さないんだろ!?」 ハルは死者に振り返りもせずに小屋へと向かった。 「やめてくれ! まだ死にたくない!」 もう死んでいるのに、死にたくないとは滑稽だ。 そう。この世界のルールはたったひとつ。 死神が見えたら転生出来る。 それが秩序で、それが唯一の理だった。 しかし、そのルールを知る者は少すない。
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