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ここに、運命の決まったこどもがいた。
名前はハル。
彼は母に会うこともなく死ぬだろう。
だが、彼は何も覚えていない。だって生まれてすらいなかったのだから。
だから、目が覚めた時には、荒野の真ん中にいた。
そこには男が立っていた。
「ようこそ、天国へ。
お前は今日から死神として働いてもらう。」
「しにがみ……?」
ハルは4本しかない指を見た。爪は赤く長かった。
自分の事を"運び屋"だと言った男は、日本から天国へ魂を運ぶ仕事をしているらしい。
これからハルに死神の仕事を教えてくれる様だ。
薄汚れて黄ばんだTシャツに、ボロボロのデニム姿の汚いおっさんで、性格はぶっきらぼうでサバサバしていた。
おっさんの性格が関係あるかは分からないが、ハルは冷静で仕事を一番に考えるアンドロイドの様になっていった。
それは仕方がないと言える。何故ならハルはこの花の咲かない天国と死神の仕事しか知らなかったのだから。
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