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それから1ヶ月
ハルが死神になる日がやってきた。
「少し早いが、お前は優秀だったし……もう教える事は無い。」
ハルは喜ぶ様子も無い。逆に嫌がる事も無かった。
「しかしまぁ、最初に言った通り死神の役目を交代する時が来た。」
おっさんは落ち着かない様子だ。しかし、ハルはただ次の言葉を待つのみだった。
「つまりだな……お前も、死神の力を使いこなせる様になったし……その、なんだ……」
おっさんが言いにくそうにしていると、冷たくも優しくもない声でハルが言い放った。
「そいつを殺せばいいんだな?」
おっさんは驚いた。ハルは見た目が12歳だとしても、実際に12年生きていたわけではない。本当なら言葉も話せない赤ん坊のはずだった。
「いや、俺だって、こんなことなぁ……でも、運び屋は転生の力は無いんだ。」
「分かっている。これは"仕事"だ。」
そう言って小屋を出た小さな死神の背中を、おっさんは見送るしかなかった。
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