天国の無い世界

一章 天国へようこそ

死神の見分け方はおっさんから教えられていた。

１、手足の指が４本で爪が赤く、長くて鋭い。

２、耳が無い。

３、死者のほとんどが死神を見ることが出来ない。

４、個人の性質に合わせた転生の能力がある。

死神は、魂の成長度合いによって現れる魂の特徴で選別される。

ちなみに、運び屋は、

１、耳が無い。

２、普通の死者には天女に見える。
一部の死者と死神には本来の姿が見える。

３、地上と天国を行き来できる。

となる。

おっさんの情報だと、森の近くで死者と話しているのを見掛けたらしい。

「くだらん。」

死神の仕事の責任を考えれば、死者と仲良くお喋りなどもってのほかだ。

しかし、気を付けなければいけないのは、相手もハルを転生させる能力があるということ。

どんな能力なのかは聞いていた。

死神は、その能力に合わせて道具を持つ事があるが、どうやら相手は刀を持っているらしい。

(リーチは向こうが長い。懐に入り込むのに苦労しそうだな……)

ハルは、能力を使うために素手で相手の体に触る必要があった。