一章 天国へようこそ

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小屋があるのは岩山のエリアだ。森へ行くには、そこから荒野を通るのが近道だ。 荒野には岩の柱が多く見られ、その間から死者たちがこちらを見ている。 しかし、今は先代の死神を転生させるのが先だ。 ハルを見付けて逃げ出す者、見えずに辺りを見回す者、全て無表情のまま無視した。 それどころか、荒野に吹き荒れる砂嵐もハルを恐れて避けていく様だった。 森が見えてきた。荒野の中に自然が出現するのは、まるで砂漠の中でオアシスを見付ける様に突然だが、天国の森には湖も、木の実も在りはしない。 ここは死者たちを迷わせる迷路なのだ。だから、奥に入ろうとする者は皆無だ。 しかし、ハルは迷いなく森へ足を踏み入れた。 森は風も少なく快適な為、住んでいる死者も少なくないが、何処に死神が居るのかは声で分かる。 近くで話をしている男がふたり。11時の方向だ。 声のする方向に進んで行くと、まるで中国の武将の様な佇まいの男が死者と話しこんでいるのが見えた。 「……となると、その運び屋が邪魔だな。」 「それだけじゃない。死神のガキを育ててる。そいつも転生(ころ)さないと。」 どうやら、男の方は死神が見えないらしい。声のする方をなんとなく見ている、といった様子だった。 何故、死神が死者と仲良くしているのか。ハルには、そんなことどうでも良かった。ルールや秩序はここにはひとつしか無いのだ。
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