一章 天国へようこそ

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死神の表情が変わった。 目の前の少年は、上司に命令されて仕方なく来たコドモではない。 恐怖どころか、緊張も迷いも無い。少年の瞳からは何も感じられなかった。 「おい? 誰と喋ってんだ? まさか、死神のガキか?」 死者の問いには答えられなかった。二人の死神は無言で睨み合っていた。 少年の能力が分からない。刀を持っている者に向かってくるのだから、リーチの長い能力なのか? しかし、それならこちらに勝ち目は無い。 そもそも、能力が中距離かそれ以上なら先程の不意討ちの時に何故使わなかった? 能力は近距離だ。 「おい。」 死者の問いかけがキッカケとなり、二人は走り出した。 刀を抜く冷たい音。風を切る鋭い音。何かが頭を通り抜ける感覚。 ハルは死神の頭の上を跳躍して通り抜けた。 刀が閃いたのが分かった。 死神は振り返り、刀を構えた。 ……しかし、そこで動きが止まった。
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