side : youki 夏の体育祭

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目を閉じてもその明度は目蓋の内側に鮮やかに残るほど、夏の陽射しは強いコントラストを作る。悠生(ゆうき)は潮風に吹かれながら、日陰から全く出ることもなく眩しい海を眺めている。 違う。海を眺めているのではなく、青い海を背景に屈託なく笑う男を眺めている。 何が楽しくてあんな顔するんだ…。心の中で呟く。 まだ温まりきっていない空気を感じながら朝焼けの海をバックに眺め、日が昇りつめるのを感じながら光を反射させる眩い 砂浜の中に眺める。相変わらず疲れなど微塵も見せず、無邪気な笑顔を振りまいて走るあいつ。Tシャツを脱いで逞しい身体を惜しげもなく陽射しに晒し、波間で水飛沫を上げている。あの肌を舐めたら、きっと潮の味がするのだろう。 夕刻が近づく頃、水平線にぷかぷかと島を浮かべる水面はきらきらと銀色に輝く。 まだ走ってんのかよ…。 十分に自覚している。同級生、成川 誠司(なりかわ せいじ)にどうしようもなく惹かれている。それは近づきたい、触れたい、求めたいという類の想いだ。だから近寄ったりしない。だからこうして一日中眺めている。 熱を持った風が悠生の頬を撫でる。陽が眩しく意識が遠退きかける。波が呼んでいるが、あちらには行かない。
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