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私は能力を使い、スピード出世を経て役員に収まった。そして副社長へ。そこまで登りつめてから、社長にはスピードの出しすぎで交通事故に遭ってもらった。
壁にぶつかり車は大破。社長は即死。
臨時役員会が開かれ、私は副社長から社長へと就任した。
妻は喜んだ。
忌々しい過去を忘れさったような清々しい笑顔を見せてくれる。
私は能力を使い人を殺めた。そんなことをするのは人格が壊れた人間だけだと思っていたので、自分がどれだけ罪悪感に苛まれるかと少し心配していたが、そうでもなかった。
しかし私はサイコパスではない。
社長には死をもって償わければならない理由があったのだ。そう考えることで心の平穏を保てた。
なによりあの日からずっと、どこか寂しそうに微笑むしかできなくなっていた妻が心からの笑顔を見せてくれた。妻を悪夢から解き放ったのだ。
この笑顔のために私はさらに会社を大きくすることに専念するだろう。
「僕が社長だから、君は社長夫人だよ。これから大変になるけど大丈夫?」
「……あなたを支えることが出来て私は幸福よ?」
妻は涙で潤んだ瞳で私を見つめ言葉を続けた。
「あなたに出会えて良かった」
「僕もだよ」
「愛してるわ」
「愛してるよ」
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私は加賀美 涼子。
能力者です。
シンプルに言えば「人の心を読める力」を持っています。
完
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