迷い猫のビラ

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* * *  迷い猫を呼び寄せるため、写真の裏に呪文を書いた。だけど効きすぎて野良猫が集まった。  猫を呼び寄せる呪文を書いたのは、この店に対する営業妨害。  たまたま猫が集まったが、本当は、もっと得体の知れないものを呼び寄せる呪文だった。  結局その後、居合わせた面々で色々な憶測を述べ合ったが、これだという意見は出なかった。  迷い猫を探すと言ってビラを配っていた割には、他の場所でビラを見たことがないから、ターゲットはウチの店だったのだろう。けれど、目的が判らない。  営業妨害のためかもしれないし、他の理由かもしれない。そもそも、どうして猫なのかということも謎だ。だが、あの男が二度と現れない以上、真相の確かめようはないのだ。  ビラの秘密に気づき、処分してから、以前のように、野良ネコはほとんどウチの店には近づかなくなった。とりあえ店主としては、この平穏が戻れば充分だ。  それでも一つだけ、変わったことがある。  誰かにどう頼まれても、もう、店にビラの類は貼らない。それが、ウチの店にできた新たなルールだ。 迷い猫のビラ…完 
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