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----- 2015/12/05 --------------------
上層階級と下層階級、その住処を隔てる扉。
天を貫く余りにも巨大なその扉は物理的にも精神的にも「壁」として存在していた。
その壁がミシミシと音を立てて開こうとしている。
赤錆びた鉄製の壁が断末魔のような音を立て、少しずつ開く、開く。
この扉を開くための供犠に、三十万の人間が捧げられた。
太古の昔から隔てられた二つの空間が、今まさに繋がろうとしている。
少しずつ少しずつ開く扉。
わずかばかり開いたその隙間から、魂の叫びが血肉の絶叫が希望の光が、
旋風となって大地に吹き付ける。
さあ終わらせよう、闇の時代を。
----- 2015/12/06 --------------------
赤い絨毯や絢爛な家具が備えられた部屋。
化粧台の前に長髪の女性が椅子に腰掛けている。
しっとりとした黒く深い輝きをたたえる髪。
女性は引き出しから古めかしい一つの瓶を取り出した。
中には琥珀色で粘土の高い何かの樹脂のような液体が入っている。
それを手のひらに少量垂らす。
部屋の証明を反射し黄色く光る塊が、女性の掌に収まった。
女性はそれを髪に塗りこむ。
砂が水を吸うように、液体は髪に馴染み染みこんでいく。
女性の髪は、より美しく、より黒く、より深く、より悲しくなった。
----- 2015/12/07 --------------------
街の中心部からややズレた場所にある映画館。
その裏の路地。
浮浪者や違法労働者がフラついている区域。
特別な用事がない限り一般人は近づかない、その先に行きたい場合は電車で通り超す。
間もなく太陽が沈もうかという赤い空の時間。
路地裏の暗がりをふらふらと男が歩いている。
微妙に焦点の定まらない目、薄汚れた服。
カタカタと震える右手に血のついたナイフを握り、何かを話している、相手はいない。
左手には、ポリ袋。
男が歩くと左腕が揺れ、袋が揺れる。
袋から金属が除く。
イヤリングが入っている、耳と一緒に。
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