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----- 2015/12/01 --------------------
「ぼっちゃん、そのカサとこのバナナを交換してはくれまいか」
「いやだよ、雨ふってるもん」
「まあまあ聞いて下さい。このバナナはヨーロッパのキゾクが好んで食べる高きゅう品ですよ、どうでしょう?」
「キゾクさんのことよく知らないです、傘はあげない」
「そうかい、時間取らせちまってすまんです」
みすぼらしい男はしょんぼり空を見上げつぶやいた。
「バナナあげるから晴れてくれんかねぇ」
----- 2015/12/02 --------------------
飢えていた。
一週間も山の中を彷徨い、見つかった廃屋。
民家のようだが、捨てられてかなり経っているようだ。
朦朧とする意識とともに食料を探しまわった。
食料は見つけられなかったが、小さな食堂だったであろう部屋で、奇妙なものを見つけた。
朽ちて潰れかけた木製のテーブルとイス。
そのイスに突き刺さる形で、「かかし」が立てられているのだ。
十字型の木材の上に、白い何かの塊が乗せられ、それに赤い色で特徴の無い顔が描かれている。
白い何かの塊。
空腹が極まっているためか、私はそれがおいしそうに見えてきた。
触れるとやや湿り気があって弾力がある。
口の中が唾液でいっぱいになる。
私は決断し、食べてみることにした。
がじゅり・・・
汁気がある、スイカとメロンの間ぐらいの歯ごたえ。
口の中に蜂蜜のようなとろけるように甘い、恍惚にも似た味が広がった。
腕に、足に、頭に、エネルギーが供給されるような感覚を覚えた。
もっと食べたい。
かかしの頭を見ると、さきほどかじったところが元通りになっている。
そんなことはいい。
もっと食べたい。
がじゅり・・・
うまい。
かかしの頭をみると・・・
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