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微笑みを浮かべている顔は、
目の下に薄っすらと隈が浮かび、頬も微かにコケている。
そして、いつも身綺麗にしている彼が、
セーターで隠してはいるものの、
その下のシャツは、どことなくくたびれている。
そんな彼を前に、私は映画どころではなくなった。
「ねぇ、衛。疲れてるんじゃない?」
「そんな事ないよ」
笑顔を作ってかぶりを振るも、当然、私は鵜呑みにはできない。
「だったら今日は映画じゃなくて、お家デートにしない?」
しかしその提案に、彼は特に反対はしなかった。
「うん、いいよ。香奈が、それがいいなら」
ところが、
「じゃあ、衛の所に行ってもいい? 夕飯の買い物、途中でして」
そう言った途端、にわかに彼が焦りだした。
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