第13章  医者も、薬も

16/22
前へ
/37ページ
次へ
だから手早く入浴を済ませ、髪を乾かしてリビングに戻る。 するとそこには、ソファの上で、ぼんやりテレビを眺める彼の背中があった。 「衛……」 私は、そっと彼の隣に腰を下ろし、自分の膝の上にある彼の手に 自分の手を重ねた。 しかし彼の視線は得られないまま、そっと俯いてしまう。 私は、誰にも見られることのなくなったテレビのスイッチを パチンと落とした。 しかし、それに何ら反応することなく、彼は俯いたまま。 そんな彼を真っ直ぐ見つめ、私は小さく呟いた。 「ごめんね」
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加