第13章  医者も、薬も

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「香奈が自分のマンションに戻ってから、 俺も、言われたように冷静になって、きちんとこれからの二人の事と 自分の気持ちを考えてみようとしたんだ。 でも情けないけど、俺、出来なかった」 フッと淡く吐息を零した彼は、 時間が経つほど冷静さから離れていく自分の気持ちを 持て余していると言う。 「でも、日に日に俺の頭が香奈ばかりに占められ始めた頃、 ある会話を耳にしたんだ」 一方的に、あんまり想われ過ぎても重いだけ――。 それは、ランチに出た先の店で、偶然、耳に入ってきた会話だったようだ。 しかし、それに彼は愕然としたという。
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