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私は、項垂れた彼の大きな背中に両手を回し、彼を抱きしめた。
「衛。それは、衛が、それだけ私に恋してくれている証拠。
だから、謝らないで」
香奈……。
静かに言いながらそっと彼の背中を摩ると
ようやく彼が、わずかに体を預けてきた。
そんな彼に、やはり私のどこかも小さくホッとする。
そして私は、ふと浮かんできたアイデアを口にした。
「ねぇ、衛。12日後って、何の日か知ってる?」
えっ……?
だが、さすがに唐突な問いに、怪訝そうな彼の顔が私の目の前に戻ってくる。
しかし、
「12日って、えっと……、12月の……」
あっ……。
最後の言葉を切ってハッとする彼に、私は微笑んだ。
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