第12章  小雨模様のパリ(続き)

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「一つはね、大きなベッドを買って、そこで一緒に寝て欲しい。 書斎や、お互いのプライベートスペースを作っても そこに、寝具もソファーも置かないで欲しいの」 そう言った私の目の前で、彼の眉根が少し怪訝そうに歪む。 「前の旦那ともね、最初は一緒のベッドで寝てたの。 でも気付いたら、そのベッドでは私しか寝なくなっていた」 きっかけは、すれ違うお互いの時間を気遣った前の旦那の思いやり。 しかし、始まりは思いやりでも、すれ違ったままの時間は いつしか互いの空間までも、すれ違わせてしまった。
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