6ノ後、物言わぬ眼に写るもの

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「まさか、あんたも旅団の隊員だったのか……!」 俺が角崎警部を睨みつける。すると彼はおいおい、と言いながら、 「お前さんに恨まれるような、そんなひどい事かい?これ。俺は任務でここに潜入してるだけで、お前さんたちをどうこうするつもりなんて無かったんだぜ。……まあ、今ここでお前と話してる時点でそれは出来なくなったんだがな」 そう言うと角崎はポケットから2枚のステッカーらしきものを俺に見せる。それはそれぞれに何かのシンボルがあり、片方は満月にそれに掛かる雲の意図、もう片方は恐らく翼を広げたコウモリであろうか。 「何だそれ?それがこの件に何か関係あるのか?」 「大有りだね。……ところでお前さんは旅団についてどこまで知った?」 「どこまでって……、一応の概要と活動経歴らしきもの、おおまかな編成と今も第13支部だけが残っている事だ」 俺が答えるとなるほどねと角崎は呟き、 「独自でそこまで至るとは、大したものだ。切れ者であり、その上きちんと情報収集も出来るか。一応”夜の狩人”の存在を理解すれば及第点としたんだが、これは合格点をあげざるを得ないな。良かったな、おめでとう」 そう言って拍手をする角崎に俺は視線を鋭くする。どうも馬鹿にしているように見えて、いい気分ではない。すると彼は俺に2つのステッカーをまた見せると、 「ならご褒美にこれが何か教えてやろう。こっちの月のデザインの奴は第13支部の部隊章付きワッペンだ。そしてこっちがまあ、お前さんへの”警告も兼ねた”もんだ」 「警告?どういうことだ」 「そのままの意味さ。いいか?さっきお前さんは”13支部だけ”残っていると言ったな。他の部隊はどうなったとかは知ってるか?」 「いや、太平洋戦争終了時に行方知らずになったと、……まさか」 俺がその事に気付いたと分かったか、角崎が再びニヤリと笑う。そして続ける。 「部隊としては解散させられたさ、名目上はな。だがそれはあくまで解散した格好にしろという形だけのもの。つまり?」 「……部隊自体は密かに活動をしていて、今も”すべてが存続している”と?」 「その通り!まるまる部隊は残ってるぜ、何せ」 そう言って角崎はコウモリのワッペンを指す。それが意味するのは、 「俺は”第6支部”から派遣された、密偵なんだからな」
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