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二軒目に入り、
山村がトイレに行っているすきに、
さやかにメッセージを送る。
“ごめん。
もうちょっとかかりそう”
既読がつくかなんて確認する間もなく、
山村が戻ってきた。
苦笑いで奴の愚痴に付き合う。
けど、
さやかのことが気になって少しも酔えない。
結局、
山村から解放されたのは終電ぎりぎりだった。
家に帰ると、まだ電気がついている。
……きっと、怒ってるだろうな。
「ただいま……」
テーブルの上にはごちそう。
ソファーには眠っているさやか。
傍に膝をつくと、
さやかの顔には泣いたあとがあった。
「……ごめん」
その顔に落ちかかる髪を払うと、
ゆっくりとさやかのまぶたが開いた。
「……帰ったんだ」
「……うん」
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