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春が来た。
と言っても、昨日の雨で満開だった桜の花はほぼなくなってしまったけれど。
うちの学校の自慢の一つ。
裏門にある桜のトンネルも、色褪せてお世辞にも綺麗だとは言えない。
雨に濡れたアスファルトに張り付いた薄紅色の花弁の絨毯は、踏みにじられて、薄汚い。
哀れな桜に、誰も振り返る人はいなかった。
まして、その成れの果てに、可哀想だと嘆く人なんて…一人もいなかったんだ。
ただ一人、君を除いては…
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