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「蓮水さん!」
廊下を出たあたりで、呼び止められる。
急いでるのに…。
少し眉を寄せて、背後を振り返った。
「富丘くん…」
高い身長の彼。
見上げると、眼鏡の奥の瞳と視線が重なる。
「あ、ごめん。急いでた?」
そう言って慌てる彼は、富丘 慎 くん。
黒髪にピシッと整えられた服装。
容姿端麗、程よい体格。そして、お約束のメガネをかける彼は、生徒会役員をも務める、超エリートさん。
「いや…大丈夫。でも、どうしたの?」
そう聞くと、口元に笑みが浮かぶ。
「聞いたよ。また一位なんだってね。今回は君に負けまいと、僕も一層努力したのに……完敗だよ」
眼鏡を掛け直す彼の言葉が、かすかに低くそして冷たかった。
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