■27-ムチムチッ?[鞭の血?無知の知!]

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そこに通りすがりの真矢が、オレ達には目もくれず、両手にいろいろ道具持ってるのにさらにその竹箒を無言で持ってった。 掃除道具を持って行ってもらったにもかかわらず、ガキ臭いオレらは『何だアイツ気取ってやがる』みたいな事をグチグチ言ってたっけ。 けど、本当は内心『ちょっと大人な対応でカッコ良くないか?』……なんて感心してたんだよな。 あ、そうだ。スポーツイベのときに、バスケでラスト一本って時に、真矢が囲まれて動けなくなってた味方のボールを強引に奪って3Pシュート決めて……。 決めたはいいけど、味方のボール奪ったから『何だアイツ……』みたいなコト言われてた。 けどオレは『俺が責任取るみたいなカンジでちょっとカッコ良いな』なんて思ったっけ……。 それから……あ、歌。 まだ真矢の声をほとんど聞いたことなかった時で『いっつも無言だから声出してんの自体珍しい。あいつ声出るんだな』みたいなふざけたこと言われてたけど、歌声もめっちゃいい感じのベルベットボイスだった。 そこそこ上手かったし、レッスンとかしたらメチャ上手くなるんじゃないかなって、オレうっとりして聴いてた。 それから、授業中も結構難しい質問で誰も応えられないと、だいたい真矢に質問が振られて、そこを何でもないように答えるんだ。 あとで『アイツの出来ますアピールうゼぇ』なんて言われるけどオレは心の中で『さりげないカンジでカッコ良くねぇか……?』とか思って……。 ……って、真矢の悪口言ってるのいっつもカズじゃねぇか。 何なんだよアイツ。 真矢の事ひがみやがって。 クソッ。 今度関係ない事でシメてやる。 そんな事を考えていると、真矢が現国の教師に朗読を指示された。 オレはぱっと顔を上げて、教科書を読み上げる真矢を見つめる。 読み終わると真矢がオレをチラリと見た。 視線が絡む。 今まで真矢の事を考えていたから、勝手にドキドキと鼓動が早くなる。 そうだ……。 オレ、以前から真矢が朗読をすると何故か目がいってた。 たしか『秀才ヤロー桐田真矢』なんてのもカズが言い出した事だ。 『無口で、控えめぶってるくせに、出来ますアピールをしてくる奴』なんて……。 カズが言ってるだけで、オレは実際そんなこと思ってなかった。 むしろ。あれ? オレ、けっこう……。 カッと頬が熱くなった。 むしろ、カッコいいとか思ってたっぽくね? そんなこと……気にしたことなかったけど。
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