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「失礼します。小森白です」
一礼をして校長室に入った。
校長と1人の若い男がソファに座っていた。
校長が立ち上がる。
「小森君、よく来てくれた。大林くんは? 」
「用事があるなら呼び出すのではなく、会いに来るだろうと言ってました」
答えると座っていた男が笑う。
「大林さんという子は大物みたいだな。」
「申し訳御座いません。すぐに呼んでまいりますので」
校長が焦ったように言う。
「いや、それには及ばない。私の方から足を運ぶとしよう。小森さん、君は待っていてくれ」
間もなくして御機嫌な黒と、先程の男が校長室に入ってきた。
あの腰の重い黒を連れてくるなんて、どんな手を使ったんだ、この男。
男に波長を合わせて心を読んでみる。
心を読む時は自分の心を弱くする、存在感を消すことで相手が考えていたこと、相手が考えていることが分かる。
どうやらこの男はヴィトンのバックで釣ったみたいだ。
意外と黒はちょろい。
が、高校生ではヴィトンを用意できる人間のほうが少ないのだから、まあ黒の気持ちは分からなくもない。
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