メロンパンとヤキモチを妬く彼

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 重い足取りで江藤の喫茶店へと向かう。  残業があると嘘をついて家に帰ろうかと思っていた。だが、一日会わないでいて気持ちが落ち着くとは思えない。  ならば江藤に今の気持ちをぶつけた方がいいのではないかとかとそう思った。 「こんばんは」  チャイムを鳴らせばエプロン姿の江藤が「いらっしゃい」と笑顔で出迎えてくれる。  ほんわかした笑顔を見るたびに暖かい気持ちになるのだが、今日は違う。  顔を合わせる事が出来ずに目を反らし、江藤の後を追うようにリビングへと向かう。 「大池、こっちに来て」  鞄を置き江藤が手招きする場所へ。テーブルの上の皿に並べられたメロンパン。 「大池の為に作りました」  メロンの果実とクリーム入りですと手を広げそういう江藤。女子受けしそうなそのパンに、あの時の嫌な感じが胸をもやもやとさせる。 「……俺は彼女たちのついで、でしょう?」  甘く美味しそうな匂いを漂わすメロンパンを睨む。 「江藤さんがロリコン趣味だなんて思いませんでした」  と言えば、江藤がキョトンとした顔をした後に、ぶっと激しく吹いた。 「俺が、ロリコン趣味ってっ!」  いかにもおかしいとばかりに腹を抱えて笑う江藤に、大池はカッとしてテーブルを激しく叩いた。
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