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「先輩、これ、すごく美味しいです!!」
普段は表情の乏しい大池が見せる素直で可愛い表情。それをみた江藤は満足げに微笑む。
「だろ?」
大池はものすごく甘党だ。本当は珈琲に砂糖とミルクを入れて飲みたいのだが、朝が弱い彼は、頭をスッキリ目覚めさせるために敢えてブラックで飲んでいるというわけだ。
あっという間にパンは無くなり苦い珈琲だけが残る。江藤はそれを取り上げ、
「ほら、砂糖入りのカフェ・オレ。もう目は覚めただろ?」
と入れたてのカフェ・オレを目の前に置いた。
「はい」
ブラックの珈琲とカフェ・オレを出した時との反応はえらく違う。良い返事をする大池に江藤は笑いかけた。
「頂きます」
彼の好みの甘さは熟知している。一口飲んでホっとため息をつくと柔らかい表情を浮かべた。
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