甘党な男達と先輩後輩

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 自分の作ったものを可愛い顔をして食べてくれるのが嬉しくて、口元を緩ませながら真野を見ていたら、大池の眉間にしわがよる。 「もしかして、男の癖にって思ってませんか?」  大池の表情を見て勘違いをしたのだろう。 「ぶはっ」  江藤は我慢しきれず吹き出すと、大池の眉間のしわがさらに深さを増す。 「江藤、さん?」  笑われている意味が解らないと真野が不思議そうに江藤を見る。 「くく、だって、甘い物が好きな男の人だってたくさんいるだろう? なぁ、大池」  江藤の恋人である大池なんてかなりの甘党なのだ。 「ほら、休憩時間が終わっちゃうから早く食べな。大池、紅茶のお替りいる?」 「ありがとうございます。ですが、もう充分です」  御馳走様でしたと小さく頭を下げる。 「御馳走様でした。パン、すごく美味しかったです!」  満足したとその表情が物語っていて、江藤の顔がまた緩みそうになり、大池にチラ見されて表情を引き締める。 「行くぞ、真野」  はやくここから連れ出そうとしているのか、真野を促す大池だが。 「また来ますね、江藤さん」  と手を振る真野だ。 「あぁ、またな」  その手を振り返すと大池が真野の腕を掴み外へと引っ張っていく。ヤキモチを妬く恋人の姿に、今度は我慢しきれずに顔を緩ませる。  昼が過ぎると学生や祖父の時代からの常連客が多くなる。彼らは目敏いから、にやけていたら、からかわれるのがオチだ。  シャンとしないといけない。頬を叩いて顔を引きませた。
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