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後輩の来店は今の江藤には都合よく、大池の事をいきなりではなく徐々に聞き出そうと思い話し始める。
「どうだ、みんな元気にしているか?」
「はい。今、すごく忙しくてヒーヒー言ってますけどね」
それから暫く同僚たちの今の状況を聞かせてくれる後輩の話に耳を傾けていれば、都合よく大池の話になり相変わらず忙しそうにしているという。
「そう、なんだ」
いくら忙しくとも、返事は送ってくれる。そんな男だと思う。だから余計に気になるわけだ。
もっと詳しく聴こうと口を開きかけた江藤に、
「そういえば見ましたよ。江藤さんてばいつの間にあんな美人の彼女作ったんです?」
といきなりそんな事を後輩に言われて何の事だと目を瞬かせる。
大池に恋をしてからというもの彼女と呼べる存在など自分にはいない。
「いつの事だ、それは」
「えっと、五日前だったかな、駅前の百貨店前で」
五日前といえば買い物に付き合えと言われ、親友であり義理の姉でもある園枝と一緒に出かけた日だ。
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