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第1章 約束だよ。
「ねぇ。有馬くん!
勇者になって、私に会いに来てっ!」
その言葉が今、俺が勇者であるゆえん。
「あぁ!アリア。俺は必ず勇者になって会いに行くよっ!」
「約束だよ!絶対だからねっ!
これは、約束の証。
受け取って?」
「凄い!
宝石いっぱいのキラキラした短剣だね!
ありがとう!」
俺は、森でであった女の子アリアと約束通りに修行を重ね、16になる頃には、王の名により、勇者として、魔王退治の旅に出る事となった。
「勇者有馬よ!
おぬしにこの国の命運を預ける。
魔王、ダークネスを必ずやうちとってくるのだ!」
「はっ!」
「勇者様!我らがお供いたします。」
と、勇敢な戦士ロク、聖女ルナ、怪しげな魔法を使う悠理と共に旅に出る。
旅の初期装備は、王国から、支給された聖鎧(セイガイ)、聖剣、そして、アリアから渡された短剣。
「絶対!魔王を打ち取り!
世界に平和をもたらすぞ!!」
「ありまぁー。なんかその台詞。
青臭いー。」
「うふふ。勇者はそのくらいでないといけませんわっ!」
「そうだな!
俺らが魔王を打ち取るんだ。
そのぐらいの意気込みは必要だ。」
と、この場にいる仲間達は、国民の希望を背負い、夢と希望に満ち溢れていた。
だが、その旅も後半に近づくにつれ、過酷なものとなった。
魔王の居城まで後、3/2の地点から、劇的にモンスターの強さが変わる。
竜族の出現地帯に入ったからだ。
「くっ、後、もう少しなのに……」
「有馬………」
「有馬さん……」
「うへぇー。ありまぁー。」
「みんな!諦めるな!
魔王を倒し、皆無事に帰るんだ!」
〝そうだ!無事に帰って、アリアを探し、言うんだ!
勇者になったよって!〟
この時、諦めれば良かったと、いまでは後悔している。
だが、この時の俺は、若すぎた。
前に進む事しか考える事が出来なかった。
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