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――旦那様は何かを決心なさるおつもりなんだわ。
そう思うと、他の誰でもない、自分を付き添いに選んでくれたことが、進藤に認められたようで誇らしかった。
しかし、あの礼二の子どもとは。
孫の存在を素直に喜んでいるとは思えない進藤の悩ましい雰囲気に、郁子は何かが大きく変わる前兆のようなものを感じていた。
***
佐々木が刺された公園のトイレに花をたむけた後、まり子は暫くの間、花を見つめていた。
孤独だったろう。
痛かっただろう。
苦しかっただろう。
佐々木の最期を想像すると、胸を引き裂かれるような思いになる。
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