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まり子は電話を切ると、拘置所へと車を走らせ、そのまま面会室へと向かった。
所長にアサ子との接見を願ったら、なぜか面会室で会うことしか許可されなかったのだ。
まり子は、外部の人間が面会するときと同じように、面会受付を通り、鍵付きのロッカーに所持品をすべて預け、金属探知機を通らされた。
おそらく、検事総長の指示ではないだろう。
アサ子の妊娠検査で疑わしい結果が出たので、警戒しているのだと思われた。
二重に隔てられたアクリル板の前で座って待っていると、ほどなくしてアサ子が男性職員とともに奥のドアから現れた。
「はじめまして」
立ち上がって挨拶すると、アサ子はまり子を見つめたまま軽く会釈をした。
収容者には誰が面会に訪れているのか知らされないため、誰かと思いつつ来てみれば知らない人だったという顔だ。
男性職員がまり子の向かいの椅子を引くと、アサ子はとりあえず腰を降ろしたが、警戒している様子が感じられた。
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