好きって言ってよ(前編)

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途中までだったけど、理性が飛びそうになりました)、憚りながらなずなとしての経験はそこそこある。その中で照らし合わせても相当なものだと思う。てか、半端なく女慣れしてる。すごい知ってる。何その舌遣い! 「…あぁ、そんなの駄目…、先輩…」 喘ぎ、切なく身を捩りながらわたしの頭の中に疑念が立ち込める。…先輩、わたしがいない間、何してたの?なんか数十年振りとかそういう錆びついた感じがないですよ。 …もしかして、それなりにしてました? いやそれを言い出したらわたしだって。でも、こっちは先輩の記憶もなんもないわけだから。どうしようもないでしょ。浮気してました?実はしてたんじゃないの?…ああ、でも、わたしたち恋人同士でもないし。それなら浮気って言わないか。 一旦胸のうちに靄った疑念をとりあえず横に置く。そのうち頃合いを見て、絞り上げてやるんだから。 それより…、だんだん…。まとまった考えができなくなる。あんまり保たないかも、わたし。 このままだといっちゃう。 喘ぎ、身体をあられもなく弾ませながらふと思い出す。そう言えば野上にもよく口と手だけでいかされたな。最初の時だけでなく割とデフォルトで、たびたび。恥ずかしいし切ないしつらいので、ちゃんと挿れてって何回頼んでも、頑として聞き入れなかった。あいつは性的ドSなので、セックスの時は自分がこうすると決めたら絶対曲げなかったのだ。その方がわたしが感じると思えば抵抗されても断行する。でも、口と手でいかせる最大の理由は、わたしがいく瞬間を自分が存分に味わいたいからだった。野上曰く、挿れている時は自分の快感に没頭してしまって『セリさんがいく様子を百パーセントしっかり見届けられない』のだそうだ。つくづくあいつはわたしマニアのど変態であった。 と思い出に浸ってるうちに身体の方はもう限界にきている。身体の芯がぴくん、ぴくんと痙攣し始める。ああもう、無理。 でも。先輩は野上じゃない。つまりドSではない。わたしの言うことなら絶対聞いてくれる。 だって知ってる。先輩は実は、わたしには大甘なんだから! わたしは力ずくで先輩をわたしの身体から引き離した。何事か、と顔を上げる先輩の目を真っ直ぐ見て、真剣に切なく訴える。 「…先輩。このままだと、わたし、もういっちゃいます」 すっごい恥ずかしいこと言ってる。でも自分に突っ込む余裕もない。先輩の表情に構わず続けるしかない。
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