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その瞬間、身体の奥がきゅうっとどうしようもなく締めつけられ、制御できない痙攣でびくん、びくん、と全身が跳ねた。…ああ。
荒い息をつきながら、身体をしどけなくぐったりと横たえる。すごく。…よかった…。
いっちゃった…。
先輩が身体を引きずるようにわたしの上に覆い被さり、口許に唇を押し当てた。そのまま力の入らない重い身体をわたしに載せて、身動きできずにいる。先輩もちゃんと終わったんだ。よかった…。
「アキ」
先輩がわたしの名前を呼んで、身体に腕を回す。わたしは先輩の首の後ろに腕を絡め、上手く力の入らないまま何とか抱き寄せた。
「先輩…、わたし、帰ってきました」
「うん」
わたしの首筋に顔を埋めて、彼は頷いた。そのままで顔を見せずに小さな声でわたしに囁いた。
「…お帰り」
「これって、不思議ですね」
わたしは自分の脚の間に手をやって、思わず呟いた。先輩の出したものが溢れてきて、なかなか止まらない。
「実体がないはずなのに。こういうのはリアルにあるんだ…」
「ごめん。しばらく続くと思う。…面倒だろ」
先輩は座ったままわたしを抱き寄せる。子宮がぴくんと反応したかのように、また溢れ出てきた。
「…あっ。また…」
「悪い」
わたしは顔を上げて先輩の唇に自分から軽くキスした。
「大丈夫です、全然。むしろ…、嬉しい。でも、確かにティッシュとか欲しいところですね」
霊には生理的な分泌物などは全然ないため、今までそんなものが必要だなんて思ったこともなかった。なんでこれだけはこんなにしっかり存在するんだろう。ああ…、『心理状態に由来する生理現象は全て存在する』か。
「まぁ…、女の方だって、濡れるのは出てくるだろ(ちょっと赤くなる)。それと同じなんじゃないかな。でも、本当に実体があるわけじゃないからしばらくすると嘘みたいにすっと消えるよ。そのままにして待ってればいい。…服まだ着ない方がいいかも」
やっぱ詳しいですね。経験ですか。
「服、駄目ですか」
「駄目ってことないけど、汚れる感覚はリアルにあるみたいだから。しばらくすれば勿論消えるけど、気持ち悪いだろ。もう少し待てば収まるから。本当悪いな。ごめん」
先輩がわたしをきゅっと抱きしめる。
「いいの。先輩のだから…、全然。でも、そろそろもう服着たいな。駄目かなぁ…」
「寒くないだろ」
霊に寒暖の感覚はない。この感じも久々だ。
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