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「そうじゃなくて。恥ずかしいです。…いつまでも裸なのって」
そう言ったら、先輩が思ってもみない挙に出た。わたしを自分の身体から引き離し、全体をまじまじと見つめる。わたしは心底真っ赤になり、手で身体を覆おうとする。
「何で見るんですか、もう」
「いや…」
先輩はわたしの手を抑え、全身をくまなく見ようとする。恥ずかしいってば、先輩。もう…無理。
先輩は真顔で言った。
「すごく綺麗だ、アキ」
「そんなこと…」
顔に火が点いたみたい。身の置きどころがないです。見ないで、本当に。
先輩はそっとわたしを抱き寄せて、また唇を重ねた。小さな声で囁く。
「…しばらく服着なくていいよ、もう」
なんかエッチなこと言われてる気がするけど…。
「なんで…、ですか?」
「着てない方がいい」
「あの服割と気に入ってるけど。…似合わない?」
「そうじゃなくて…」
先輩の声のトーンが変わった。掠れて甘くなり、手がわたしの敏感な場所を弄ぶように探り始める。すぐに濡れて、こらえきれず喘ぎだすわたしの耳許で更に続けた。
「服より中身の方が全然いい」
「あぁもう…、んっ、先輩。あん…」
何でそんなこと言いながらこんなことするんですか、もう。感じちゃうじゃないですか。
…ああ、身体が動いちゃう。いったばっかりだから、敏感だし。どうしよう、もうこんなで…。
「…先輩…」
わたしは先輩にしがみつき、身体を弾ませて必死に訴えた。
「こういうの、途中までとか絶対嫌。最後まで責任もって。…あぁ、…お願い…」
「大丈夫だから」
先輩はきっぱりと言って、わたしを床に押し倒してのしかかった。
「ちゃんと全部するよ。心配するな」
激しく熱っぽいキスをしながら、わたしの脚を押し開く。わたしは喘ぎながら自らも大きく開いて、彼を再び奥まで迎え入れた。
わたしたちの今いるこの空間は、本物の美術館ではないってことは、少し後で知った(いろいろな意味でそれどころじゃなかった、しばらくは)。あの美術館に重ねるように作られた特殊な亜空間ということだ。だから他の霊は入ってこられない。正確に言うと、先輩が担当している転生から帰ってくるはずの他の霊も後ほどここへやって来る。
「お前と、あと二人な」
「…ああ、はい」
わたしは頷いた。それだけで、誰のこと言ってるかわかります。
結局わたしが一番先に死んだんだな。
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