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気まずさと驚きも明白に、凍りついたように私を見詰める彼を前に
さすがに更に真意を探るべきか、私も迷いだす。
そして、言いたくなければ言わなくてもいいと言おうとした時、
ふっと目の前の彼が、視線を落としてポツリと言った。
「俺、どうなればいいんだろう」
えっ?
今度、聞き返したのは私。
しかも、益々、彼の心に詰まった不安が分からない。
だから、今度は私が黙って彼を抱きしめた。
私の腕の中で、彼も黙ったまま、わずかに身を預けてきた。
そしてしばらくすると、再び彼が小さく呟く。
「それでも……。あっ、いや、だけど……」
そして、小さく「はぁ……」と声に出して淡い溜息をこぼした。
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