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正直、何を葛藤して、何に不安を抱いているのかはやっぱり分からない。
だから取り敢えず、今、私が分かっている事を口にした。
「高校時代の衛、私のこと書いてくれてたのね」
ところが、そう言った途端、
一瞬、体を強張らせた彼の腕がキュッと私を抱きしめた。
「あの日記、まるで君の観察記録なんだ。
どこを開いても、キラキラしている君や、沈んでる君や
ほとんど君の事しか書いてない」
それは、引っ越しの時に偶然見つけられ、
何の気なしに目を走らせ、そして捨てられなくなった思い出の物らしい。
「あの頃の俺は、書き方は単なる観察日記でも
あんなに君を好きだったんだって、恥ずかしいくらい丸分かりでさ。
だから、初めはアレを見られるのが恥ずかしかった」
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