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しかし、改めて読んでみて気付いたという。
自分は、あの頃より大人になって、恋も知り、結婚もした。
だがそれでも、再会して、何度か会うようになるまで
やっぱり私に恋していた事すら気付けなかったと――。
「でも今は、分かって恋してくれてるんでしょ?」
だけど……。
私を包んだ腕が緩められ、私の前に戻ってきてくれた彼の目が再び俯く。
「俺、離婚してから、恋愛は俺には向かないし、面倒だってずっと思ってた」
しかし、私を好きになって、前の奥さんに叱られた事に感謝したという。
お蔭で、もしかしたら自分も少しは変われているかもしれないと――。
「でも……、俺は、やっぱり高校生のあの頃から然して変われていないって
つくづく思った。
けどそう思ったら、もしかして今まで、やっぱり俺の気持ちばかりを
押し付けてきたんじゃないかって思えて……」
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