鏡の中の他人

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僕は子供の頃から好きな女の子がいます。本当に幼い頃から彼女が好きです。ただ、彼女に僕の思いを伝えるには。大きな障害が一つだけあります。 『貴方は高い所が大好きです。最寄りの一番高い所に昇って。地球の重力による自由落下を味わって下さい』。 『…はい。御主人様』。 僕の大切な彼女の事を、イヤらしい目で見ていた同級生の男子に。“お願い”をしました。 僕の大切な彼女の事をイヤらしい目で見ていた同級生は。フラフラと歩きながら。街のビル街の方へと向かいました。 僕が大切に思っている彼女に愛を告白出来ない理由は。この“お願い”にあります。 物心付いた時から誰一人として。僕の“お願い”を断わった人はいません。 そう。僕が大切な彼女に。付き合って下さいと“お願い”をしたら。間違いなく彼女は首を縦に振って、僕の恋人となってくれるでしょう。 …それでは意味が無いのです。 僕は彼女の事を心から愛しています。僕のこの“お願い”の能力を使わずに。彼女の心を手に入れてこそ。本当の意味で、彼女を僕の恋人にしたと言えますから。 今日も僕は彼女と当たり障りのない会話をしながら。どうすれば何一つ“お願い”する事なく。彼女の心を手に入れる事が出来るか考えています。
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