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ところが、この日、帰宅してきた彼には少し疲れた様子が浮かんでいる。
別に、連日残業だったような事は聞いてないし、
この日も特に帰りが遅かったわけでもない。
しかし、少しだけ姿が小さく見えるほど元気がない。
「衛、先にお風呂にゆっくり入ってきたら?」
それだけに、私は自然と促していた。
そして彼も、
「うん……」
素直に頷いてくる。
だが、黙って着替えを取りに寝室に向かった彼の背中を見送り、
風呂の準備をしながらふと思った。
考えればこの数週間、私は、きちんと彼の様子を見ていなかった気がする。
もちろん日常の会話の中で、お互いの忙しさはありのままに話題に上った。
しかし私は、特別に多忙ではないという彼の言葉を
単に鵜呑みにしていただけのように思う。
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