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しかし、日が経つに連れ、私の思考も気持ちも、
何かに囚われているように見えてきたという。
「それで、俺、ちょっと心配になってきたんだ。
一緒に住んでみたものの、やっぱりこんなはずじゃなかったって
君が思い始めてるんじゃないかって……」
あまりにも苦しげな声で、やや途切れがちに言う彼の言葉の裏に、
私は、前の奥さんの残像が見えたような気がした。
しかし、それをこの場で聞くことはしなかった。
その代わりに私は、自分の手の下の彼の手を柔らかく握る。
「衛。結果的に隠し事をしていたのは、私が悪い。本当ごめんね。
でも私、衛との生活は全然イヤじゃないよ?
むしろ、時が経てば経つほど、この生活が楽しくなってる」
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