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香奈――。
ようやく私の目の前に戻ってきてくれた彼の視線に、私は微笑みかける。
「私ね、彼にも、今のパートナーと幸せになって欲しいって心から思った。
でもそれは、私がいま幸せだから。
衛が、私をいっぱい幸せにしてくれるからだって思うの」
そして私は、彼の胸にそっと寄り添うように身を委ねた。
「私たち、失敗して、だからこそ色々抱えて。
でも、それが今回みたいに一つずつ浮かんできて、こうやって消えていって。
私は一歩、一歩、衛の気持ちにより近づいて寄り添えてくる気がする。
だからこの温かい胸と同じくらい、衛の気持ちの温もりも感じられる」
それが、すごく嬉しい。
そう言った私を、彼の腕がふんわりと抱きしめた。
そして、更に彼の胸と気持ちの温もりを感じながら
自分の中から、完全に前の結婚も旦那も過去の中に消えた事を
私は実感していた。
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