第19章  香奈の秘密(続き)

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香奈――。 ようやく私の目の前に戻ってきてくれた彼の視線に、私は微笑みかける。 「私ね、彼にも、今のパートナーと幸せになって欲しいって心から思った。 でもそれは、私がいま幸せだから。 衛が、私をいっぱい幸せにしてくれるからだって思うの」 そして私は、彼の胸にそっと寄り添うように身を委ねた。 「私たち、失敗して、だからこそ色々抱えて。 でも、それが今回みたいに一つずつ浮かんできて、こうやって消えていって。 私は一歩、一歩、衛の気持ちにより近づいて寄り添えてくる気がする。 だからこの温かい胸と同じくらい、衛の気持ちの温もりも感じられる」 それが、すごく嬉しい。 そう言った私を、彼の腕がふんわりと抱きしめた。 そして、更に彼の胸と気持ちの温もりを感じながら 自分の中から、完全に前の結婚も旦那も過去の中に消えた事を 私は実感していた。
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