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すると、ほんのわずか押し黙った彼は、
手の中のマグをそっとテーブルに置いて細く息をつく。
「ごめん、気を遣わせてたんだね」
わずかに項垂れる彼に、私は、にわかに慌てた。
「そんな事ないの。でも、ちょっと元気ないみたいだったから
心配っていうか、どうしたのかなって……」
ところが、言い繕った私の言葉尻に続くように低い彼の声が尋ねる。
「いつだったか、香奈は、俺と暮らすのが、
日に日に楽しくなるって言ってくれたよね?」
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