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実はあまり、今のメンバーで長い航海はしたくない。
料理人エールがいないからだ。最初は気付かなかったのだが、海の上ではコックというものが重要な役割を占めるようだ。
航海の最中の一番の楽しみは、やはり食事だろう。今はヴェトラの音楽もあるが、音楽は聞かなくても死なない。しかし食事は取らないと死んでしまう。生命の源である。
その楽しい食事が今はあまり美味しく無いのだ。
いや、今が普通なのだろう。たまたまエールの調理の腕が素晴らしかったのだ。
航海中の食事といえば、堅パンと干し肉が多い。それは保存がきくからであるが……しかしエールは、それを極少量のチーズやバターで味付けをしたりしていた。
それに航海のはじめの方では食材も豊富なはず、最初は普通の食事が出てもおかしく無いと思う。
しかし、今のメンバーでは、食事ははじめから堅パンと干し肉のみだ。
エールが居れば最初の数日間は陸の上で、お店が開けるのではないか?と思える程の食事が出たぞ!
今はなぜ、最初から味気ない堅パンと干し肉だけなのだ。
私は新しい航海長のラグナに聞いてみた。
すると、パウルの子分のコックは私たちとの戦闘で死んだと言う。
私は言いたい。70人も生き残ったのだぞ!なぜ、コックが死ぬ!?前に出すぎだ!馬鹿者!!非戦闘員として後ろに隠れていろ!!
そういう理由で我が船にコックはいない。そして同じ理由で物資管理係の甲板長もいない。これも私達との戦闘で死んだようだ……
だから、前に出るなと言うのに……
それらの理由により、今回の航海には不安がある。積んでいる食料があてにならないのだ。
恐い……
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