第6章 たかがゲームだ……

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……久々だな。知り合いとお酒を飲みに来るなんて。 「がははっ、楽しいなっ、カナエ」 くそ、隣でエッダリが鬱陶しい…… 私は今、アーガルという港にいる。そこの酒場で酒を飲んでいるのだ。 あのパウル・ハウゼンを倒した後に、この港までやって来たのである。 パウルを倒して得た戦利品は山ほどあった。一人一人の分け前も相当なものである。 私たちを栄光へ導くという船を一緒に共同購入した、おっさん達の大半は、その金を持って元の生活へと戻って行ってしまった。 結局、私がパウルを倒した時に生き残っていたおっさん連中は40人程だった。その生き残りの中にはエッダリとスノラとエールもいた。 その40人の内、20人ぐらいが元の暮らしへと帰っていったのだ。 私としては嬉しいことに、スノラとエールは残ってくれた。彼らは我が船の要なので居なくなると操船や食事に不安が出てしまう。 「カナエ、大丈夫か?酒が冷めるぞ」 エッダリも残ったが、それはどうでも良い。それに酒は冷めない。最初から冷たい酒を飲んでいるのだ。 そして嬉しいことに生き残ったパウルの子分70人は、そのまま私の仲間になることを承諾してくれた。 なので、50人程の落ちこぼれのおっさんばかりで始まった海賊稼業は、一気に百人ぐらいの大所帯に膨れ上がった。 そして、中身も大きく変わった。航海未経験の落ちこぼれのおっさんばかりだった私たちに、いきなり海千山千のパウルの子分達が加わったのだ。 しかし、この酒場にスノラとエール、それと半数ほどの仲間の姿はない。彼らには秘密の任務を与えたからだ。
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