第6章 たかがゲームだ……

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私が、スノラとエールにその秘密の任務の内容を伝えると彼らはびっくりした顔で私に聞いた。 「カナエ、なぜ、そのようなことをしないといけないんだ?」 彼らにはうまく説明が出来ない。だから私はこう言う。 「先行者優位の結果、今後、私の元には続々と人が集まって来ることが予想されます」 私がこう言っても、スノラとエールには何のことだかさっぱり分からない。 「だから、その予防の為に、あなた達には先程言った事をして欲しいのです」 思うことは……彼らが新しく仲間になったパウルの子分達と、うまくやってくれていれば良いのだが…… 私が心配していると…… 「ここ、いいですか?」 真後ろで若い女性の声が聞こえる。 うんっ? 酒場のお姉さんか? 「ええ、いいですよ」 そう言って後ろを振り向いた私は驚く!! な、何ぃっ!? ……わ、わ、若いっ!! いくら何でも若すぎないか?まだ、未成年だ。十七、八歳くらいだろうか。 何度もひつこいようだが、私は子供が出来るのが遅かったが…… 「失礼します」 声を掛けてきたお嬢さんは私の隣に座る。 ……もし、二十歳ぐらいで子供が出来ていれば、これぐらいの娘がいてもおかしくないのだぞ。 「どうぞ」 お嬢さんは、私のコップにラムを注いでくれる。 「あっ、どうも」 私は右手に持ったコップをお嬢さんに差し出して、ラムを注いでもらう。この時なぜか左手は自分の後頭部をポリポリと掻くような仕草をする。理由は分からないが癖みたいなものだ。 そしてペコペコと頭を下げる。こちらはお金を払っているのだから、ここまで恐縮する事は無いのだろうが、なかなか可愛いお嬢さんである。 こんな可愛い女の子が、お金の為とはいえ、私みたいな者に媚び諂(ヘツラ)って、お酒を注ぐのには辛いものがあるだろう。だからついつい申し訳無いと思い頭を下げてしまうのだ。ゲーム開始時に自分の外見はイケメンに設定しておいたが、中身は私だ。何も変わらない。
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