第7章 海賊で音楽家

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「地球は丸いですか?」 「へっ?」 今日、何人目であろう?この質問をした相手は。 この質問を受けた者は皆、少しビックリした顔で私を見る。 今、私は仲間集めをしているのだ。 現在の私たちの人数は約40人。海賊行為を行うのに少なくは無いが、もちろん多い方が良いに決まっている。 私の持論では、戦いに勝つのは最も戦力を集めた者である。 「えーと……丸いと思います」 目の前の若者は答える。 言うなれば、これは面接である。宿屋の一室を借りて、仲間に入りたいと言う者とこの部屋で話をしているのだ。 「では、地球は太陽の周りを回っていますか?太陽が地球の周りを回っていますか?」 私は聞く。聞かれた相手は何かの引っ掛けだろうかと眉をひそめる。 私はこの【海賊GAME】の時代設定を十七世紀後半から十八世紀初頭と推測している。 つまりコペルニクスやガリレオよりも後の時代だ。 もちろん、地動説は紀元前より唱えられているが、一般の者が自信をもって地球が動いていると言えるようになったのは十六世紀以降だろう。 「はい。地球は太陽の周りを回っています」 「はい。合格」 私は海賊になりたいと志願してきた若者にニッコリと微笑みながら言った。 しかし、相手は何か腑に落ちないような表情でこちらを見ている。 「何か?」 私は若者に聞いた。 「あのー、それだけですか?」 「物足りないですか?」 「……」 若者は明らかに物足りない表情をしている。 「では、少し難しい質問をします」 「お願いします」 私は少し考えてから言った。 「壊血病を知っていますか?」 私のこの質問に若者は少しムッとしたようだ。 「海に出る者で壊血病を知らない者はいません!」 若者は断言する。
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