第7章 海賊で音楽家

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壊血病とは、この時代の船乗り特有の病気である。歯茎から出血をして歯が抜け落ちたり、傷の出血がなかなか止まらなかったり、抵抗力が著しく落ちたりする。この時代の不治の病だ。 そう、船乗りでこの病気を知らない者はいないが……残念ながらエッダリは知らなかった…… しかし、彼はただの賑やかしキャラで、船乗りでは無いのでそれは良いだろう。 「では、壊血病を予防する食べ物は?一、レモン。二、ライム。三、ミカン。どれでしょう?」 この質問には若者も首を傾げる。 そうだ。この時代、壊血病は不治の病である。この病気の予防にビタミンCを多く含む食べ物が効くと分かったのは、十八世紀後半である。つまり、この【海賊GAME】の時代設定の少し後だ。この若者が答えを知らなくて当然だった。 「分かりませんか?」 「すいません」 若者はしょげてしまう。 「答えは、今私が言った食べ物は全て壊血病に効果があります」 「そうなんですか?」 若者はビックリした顔で言う。 「壊血病はレモンなどに多く含まれる栄養素が不足してなる病気なのです」 私は若者に説明をする。 すると若者は目を丸くして言った。 「えっ、まさかビタミンCですか?」 「そう。ビタミンCです」 若者は私を尊敬の眼差しで見る。それはそうだろう。誰も知らない事を私は知っているのだ。 「あなた、名前は?」 「えっ?あ、オーディです」 そうか、オーディか、覚えておこう。 この若者は仲間にする事に決めて、私は次の人材を呼ぶ事にした。 エッダリが呼ぶと、何か妙な物を抱えた若い男の子が入って来る。 なんだ?あの手に持っているのは…… ラッパ?いや、トランペット? 「一曲如何ですか?」 入って来た少年はトランペットを構えて私にそう言った。
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