第7章 海賊で音楽家

4/17
前へ
/32ページ
次へ
「なんだ?おめぇ。なんか勘違いしてねえか?ここは海賊になりたい奴が来るところだぞ」 私の横に座るエッダリが凄んで言った。 「はい。仲間になりたいです」 少年は少し緊張した面持ちで言う。 「はぁっ!?」 エッダリはさも馬鹿にした口調で大声を出した。 「なかなかの逸材だな……」 「えぇぇぇー?」 私の言葉にエッダリが非難の声を出す。 私が考えるに古代より、戦闘と音楽は切っても切れない仲だ。 兵士の指揮を鼓舞するのに音楽が使われたりする。進軍ラッパなどはそのいい例だろう。 「君は剣を使えるのですか?」 「からっきしです」 少年はそう言うと、えへへと笑う。 完全な非戦闘員か…… 「剣も使えないのに、海賊の仲間になりたいのですか?それでは条件は厳しいですよ」 「あ、はい」 少年は真面目な表情で返事をした。 「何か士気が上がる様な曲を吹いて下さい」 私のリクエストに合わせて少年は曲を吹き始める。 おおっ、なかなかの音色だ! これは素晴らしいのではないか? 私は少年が一曲吹き終わるのを静かに待った。 エッダリも感心して少年のトランペットを聴いているようだ。 少年はトランペットを吹き終わった後、テストの結果を待つ学生のような顔をして私を見る。 それに対して私は言った。 「もう一曲、お願いします」 「あっ、はい」 「聞いた人間が不安になるような、恐怖心を煽るような曲は吹けますか?」 それに対して少年は少し困った顔をする。 「え、えぇと……不安になるような曲?」
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加