第5章 パフォーマー

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しまった!少年に気をとられ過ぎたか? 私も少年のような華麗なバック・ステップで、仲間の元に戻りたいが「オーバー・ヒート」が切れて身体が重い。 これはかなり「体力(HP)」が減っているんじゃないのか? まずいぞ、後ろには回り込まれていないが、前面を敵海賊達に包囲されている。前と左右で三人だ。 ギンッッ!!キンッ!! その三人の海賊が連続で攻撃を仕掛けてくる。たまったものでは無い。 仲間のおっさん達には三人チームで敵一人を襲えと指示を出したが、三対一とはこんな状況か? おっさん達にやられた海賊共はさぞ無念な思いで死んでいった事だろう。 キッンッ!!ギンッッ!!キッンッ!! まずい…… オーバー・ヒートが切れた今、「シャムシェイド」の「100」ポイントだけでは三人の海賊に対抗出来そうにない!! 私は必死に敵の攻撃を防ぐ。 キンッ!!キュイッーン!! くっ!今、目の前にいる三人は一人一人が相当な手練(テダ)れのようである!! ギンッッ!! しまった!!右側の敵に、防御した剣を弾かれた! そして左に立つ敵の凶刃が私を襲う! 駄目だ、かわせない…… ここでゲーム・オーバーか…… ズダーンッ!! 今にも私に剣を振り下ろそうとした左の海賊が吹っ飛ぶっ!! どうやら、おっさん達の誰かが銃を撃ったようだ。 ……弾が残っているなら、とっとと撃って欲しかった。 私の前方と右側の海賊は一瞬硬直する。 その隙に私は華麗では無いステップで、ドタドタとおっさん達の所に逃げ帰った。 私は慌ててスマホを操作しながら言う。 「な、なんで、もっと早く撃ってくれなかったんですか?」 「いや、カナエなら大丈夫かな?と思って……」 期待し過ぎだ、馬鹿者。死ぬところだったわ!
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