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そうか、この少年のレパートリーには無いようだな。そもそもそんな不安を煽るような曲など、この世にあるのだろうか?
別にこれが吹けなくても、少年は仲間にするつもりではあるが、私は少年に言ってみる。
「即興のオリジナルでもいいですよ」
少年は少し考えてから吹き始めた。
……
うぉ!!なんたる不協和音!!
いや、しかしただの不協和音ではないぞ。
……なんだ?この不安感は?
私は音楽には詳しく無いが、上手くディミニッシュ・コードを使用し、不協和音を多用して不安感を煽っているのだな!!
これは素晴らしいぞ!!
剣は使えなくても、とんだ掘り出し物かもしれない!
私が拍手をすると少年は吹くのを止めた。
「今、即興で作ったのですか?ディミニッシュ・コードのような高度な技術はどこで覚えたのです?」
「デ、デミ?」
少年は変な顔をして私に聞き返して来る。
教えられた技術では無く、感覚でやったようだな。
「素晴らしいですよ。仲間になりましょう」
私は少年と握手をして言う。
「えっ?あ、ありがとうございます」
「君は名前はなんと言うのですか?」
「ヴェトラです」
ヴェトラと言うのか。音楽家の海賊というのが面白い。
私はヴェトラも仲間にする事に決めて、次の人材を部屋に呼ぶ。
すると、今度は眠たそうな顔をしたとんでもない美形の若者が現れた……
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