第7章 海賊で音楽家

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そうか、この少年のレパートリーには無いようだな。そもそもそんな不安を煽るような曲など、この世にあるのだろうか? 別にこれが吹けなくても、少年は仲間にするつもりではあるが、私は少年に言ってみる。 「即興のオリジナルでもいいですよ」 少年は少し考えてから吹き始めた。 …… うぉ!!なんたる不協和音!! いや、しかしただの不協和音ではないぞ。 ……なんだ?この不安感は? 私は音楽には詳しく無いが、上手くディミニッシュ・コードを使用し、不協和音を多用して不安感を煽っているのだな!! これは素晴らしいぞ!! 剣は使えなくても、とんだ掘り出し物かもしれない! 私が拍手をすると少年は吹くのを止めた。 「今、即興で作ったのですか?ディミニッシュ・コードのような高度な技術はどこで覚えたのです?」 「デ、デミ?」 少年は変な顔をして私に聞き返して来る。 教えられた技術では無く、感覚でやったようだな。 「素晴らしいですよ。仲間になりましょう」 私は少年と握手をして言う。 「えっ?あ、ありがとうございます」 「君は名前はなんと言うのですか?」 「ヴェトラです」 ヴェトラと言うのか。音楽家の海賊というのが面白い。 私はヴェトラも仲間にする事に決めて、次の人材を部屋に呼ぶ。 すると、今度は眠たそうな顔をしたとんでもない美形の若者が現れた……
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